発見!今週のキラリ☆

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vol.128 「心を決める」 by 浅川奈美


2月のテーマ:ハート

どんな極限状態であろうとも、腹を決めた人は強い。明確なゴールのイメージを持つものは、いかに困難な状況にあろうとも、次の一歩を出すことができる。

1952年7月4日の早朝。フローレンス・チャドウィック(Florence May Chadwic)、34歳。彼女は、アメリカLA沖にあるカタリナ島からカリフォルニア州沿岸を目指し泳いでいた。氷水のように冷たい水。伴走するボートすら見えないほどあたり一面に広がる深い霧。サメの生息地でもある海域。それでもフローレンスは泳ぎ続けた。1スクロール、1スクロール、わずかだが確実に進んでいた。スタートしてから15時間近くが経過。限界はもうすでに彼女の目の前にやってきていた。伴走するボートからトレーナーと母親は繰り返し声をかけ続ける。

「あきらめるな!」
「対岸までもうすぐだ」

彼女の戦う姿はテレビ中継され、何百万人もの人々が見守っていた。
当時、既にイギリス海峡を両岸から泳ぎきった世界で最初の女性としての記録をもっていたフローレンス。一度やり始めたことを途中であきらめることはなかった。
今回も、必ず......。

しかし、岸に着くことなく、彼女はボートに引き上げられた。無念の途中リタイア。深い霧の先にあるゴールまで、残りわずか1キロあまりであったことをボートの上で知ったのだった。数時間後、記者会見で彼女はこう語った。

「言いわけするつもりはありませんが、
対岸が見えてさえいたら、泳ぎきることができたかもしれません」


2ヵ月後。フローレンスは再びチャレンジする。前回と同じように立ち込める深い霧。凍てつくような海水。ひとつ大きく違っていたもの。それは、目で捉えることができずとも、ゴールのある対岸のイメージを明確に頭の中に描き続けたこと。霧の向こうに必ず岸がある。そう信じ続けた。
結果はいうまでもない。フローレンス・チャドウィックはカタリナ海峡を泳いで渡った世界初の女性となった。そしてその記録は当時男性が持つものを2時間も縮めたものだったという。

自分が今どこに向かっているのか、分からなくなることがある。
さらに目標が立派過ぎると、それはあまりにも遠くて大きくて、いくら頑張ってもちっとも近づかない気がしてしまうこともある。今進んでいる道の先にはゴールはあるのかどうか...。

大きな目標であればあるほど、達成するまでの課題は山積みとなる。
言うまでもない。まずは明確な目標、ゴールのイメージをいかに持ち続けていくかが大切だ。そして自分の今の能力、筋力を分析し見極める。弱点や克服すべきところ一つ一つを明確にゴールと定め、攻略していくこと。今自分がどこに立っているのか、今いる道はどのゴールに向かっているのか。このゴールの先の、次のゴールはどこに設定するのか。

一見、遠回りなようで実は一番の近道のような気がする。
失敗すらも、自己分析の要素だ。
腹さえ決まっていれば。何度だってチャレンジしていけばいいのだ。